ピアプロスタジオとボカキューの違いを比較してみる。ボカキュー4(Vocaloid Editor 4 for Cubase)の設定や、ざっくりと気になったところなど。

Vocaloid Editor 4 for Cubaseに関する、個人的な感想も含めた記事です。購入後にちょこちょこ更新中。

2016年8月31日に初音ミクV4Xを買い、かなり良い感じだったので、その後9月8日にボカキュー4を購入しました。以前からボカキューは欲しかったのですが、比較ブログ等、情報がとにかく無かったので、困っていました。V4Xの完成度が高かったので、これ以上の操作性になるならと、買いました。

ボカキュー4とピアプロスタジオの違いを比較していきます。
書き足していったら全然ざっくりじゃなくなってしまいました。

結論:
読むのが面倒な人のために最初に結論。
ボカキューは買いです。

買って損は無いです。
(Cubaseがよほど嫌いじゃなければ)

VOCALOID4 Editor for Cubase


ピアプロスタジオとは?
→すべてのDAWソフト上で動く、ボカロのエディターです。
(開発元:クリプトン・フューチャー・メディア)
初音ミクV3やV4X、鏡音リンレンなどのクリプトン製のボーカロイド製品を買うと付属されています。普通はこれを使います。
もちろんCubaseでも使えます!
※クリプトン・フューチャーメディアのボカロを買わないと付いてきません。
ピアプロスタジオが付属してくるボーカロイド製品一覧
http://piaprostudio.com/?page_id=28

ボカキュー4とは?
→Vocaloid Editor 4 for Cubaseの略で、Cubase7,8,9系で動く、Cubase7,8,9系専用のボカロエディターです。Cubase LEやAI版でも使えます!(開発元:ヤマハ)
Cubaseシリーズ対応表:https://net.vocaloid.com/products/show/v4e_for_cubase_ai
これはボーカロイドがCubaseに組み込まれるようになるため、より編集がしやすくなります。
Cubase7か8か9を持っていて、日常的にボカロを使う人向けです。
(ちなみに、ボカキュー4を買うとCubase AI 9が付いてきます。Cubase AI 9でもボカキューは動きます。)

なぜ2つあるの?

ボーカロイドは元々、ヤマハの技術を使った音声エンジンです。
「初音ミク」は、その技術を元にクリプトン・フューチャーメディアが開発した音声ライブラリの1つです。
なので、ピアプロスタジオはもともと、クリプトン製のボカロでの使用を目的に作られたもの。
そして現在では他社のボカロでもピアプロスタジオを使用できるようになっています。
逆に言えば、ピアプロスタジオを手に入れるには、初音ミクや鏡音リンレンなどのクリプトン製のボカロを買わないといけません。(2016年10月現在、単品販売はされていない)
ピアプロスタジオは非常に良く出来ているので、単品販売してほしいところです…!

ピアプロスタジオが付いてくるボカロ一覧(下のリンク)
http://piaprostudio.com/?page_id=28

一方、ボカキューは、ヤマハがCubase専用に開発した、ボーカロイドエディタです。
ヤマハはCubaseを販売しているので、DAWソフトとボカロとの連携をして、より自社(開発は子会社のSteinberg)のDAWであるCubaseを普及させたいという意図はあるでしょう。

要は、ピアプロスタジオとボカキュー4は、違う会社が開発した、全くの別製品です。初音ミクに最適化されてるのはクリプトンの開発したピアプロスタジオと言えます。

ちなみに、ピアプロスタジオもボカキューも持っていない場合は、ヤマハの出しているVOCALOID4 Editorを買う必要があります。(IAや音街ウナなどを購入した場合)

もしくは、価格はほぼ変わらないので、ピアプロスタジオ目的で初音ミクV4X(もしくは初音ミクV3)を買うのもアリだと思います。
初音ミクV3は価格が1万近くまで下がってるので、エディター1つ買うのとほぼ変わりません。

VOCALOID4 Editor( for Cubaseじゃないほう)は、単独起動(スタンドアロン)でしか動作しません。
あらかじめ作っておいたオケの音声データを読み込んで、歌声だけを調声するという使い方になります。
ボーカルと同時にオケを編集できないということです。
ただ、そういう作り方が好きな人もいます。オケを完成させてから、調声だけに集中したいタイプですね。


 本題です。

ピアプロスタジオとボカキュー4の違いと比較。ざっくり7点あります。

① ピアプロスタジオは再生ボタンを押した直後の音声が発音されない(開始1秒くらい)。再生を止めても歌声が1秒くらい続く。

これに関してはそこまでストレスではないです。(人によるかも)

② ピアプロスタジオは編集画面に入るとDAWの音が再生されない。トラック画面に戻れば再生される。

これはかなり驚きました。編集中にオケの音(DAWの音)が聴けないというのは困ります。
編集画面がアクティブになっていると、DAWの音が再生されません。仕様のようです。

エディターを小ウィンドウにしておいて、編集したいときにだけクリックしてアクティブにするとか、2画面ディスプレイで1画面に出しておいて、編集したいときだけアクティブにするとか、そういう使い方になります。

※ピアプロスタジオはMIDIトラックではないので、トラック(DAWの全体の画面)には打ち込んだノート情報は表示されません。いずれかの方法でエディター画面を出しておかないと、ボーカルトラックが確認出来ません。

③ ボカキューは再生ボタンを押すと少し「待ち」の時間があってから再生が始まる(0.5秒くらい

人によってはストレスになるかもしれません。僕は段々慣れてきました。オケだけ編集のときはボカキューのトラックをフリーズさせることもしばしばしています。

④ ボカキューは、CubaseでMIDI入力をしたあとにボカロエディターに入ってすぐ歌詞を入れられるので効率が良い。リアルタイム入力機能もある。ピアプロスタジオはMIDIではないので打ち込み情報がトラック表示では見えない。

ボカキューはMIDIを直接編集する形になります。ボカロの声をMIDIノートとして編集もできるし、ボカキューエディタでも開けます。
MIDIを入力して、それをボカキューエディタで開くと歌詞も入れられるよ、というイメージ。
つまりめちゃくちゃ使いやすいということです。

一方、ピアプロスタジオは、ピアプロスタジオというエディタの中で歌詞・ノートを打ち込んでいくイメージです。MIDIとしての書き出し/読み込み もできますが、基本的にはピアプロスタジオのエディター上でノートの編集を行います。
DAW全体の画面で見ると、ピアプロスタジオのトラックは、ずっと空白トラックです。
ピアプロスタジオのインストゥルメントを開くと、初めてそこにエディターが出てきます。エディターに何かを打ち込んでもピアプロスタジオトラックのMIDIトラックは空白のまま。なので、どこから発声が始まるかはエディターの外からは分かりません。(これがピアプロスタジオの一番の欠点です)
空のMIDIトラックを1つ作って、どこから打ち込みをしたかをメモっておく等するしかありません。

⑤エディターの性能:
・エディターだけで言えば、ピアプロスタジオのエディター画面の方が最新鋭で使いやすい。
ヌルヌル動くし、編集しやすい。ノート入力がしやすい。
・ピアプロスタジオではハモリが作りづらい。(メロディー2つを同一画面に表示できない)。
・ピアプロスタジオでは「歌詞の流し込み」が出来ない。1つ1つ入れていく必要がある。 ←ピアプロスタジオでも歌詞の流し込みが出来るようになっていました!(2017年1月15日追記)

ピアプロスタジオのエディタ

ピアプロスタジオの画面。E.V.E.C機能で「Soft」「Power」の2種類の声を選べる。(なしも可能)。ノートを書いた小節でも、Cubase側ではこのように何も表示されない。

エディターは全体的にはピアプロスタジオの方が使いやすいです。打ち込みもしやすいし、歌声の調整も細かく、分かりやすくできるようになっています。ピアプロスタジオはペイントソフトのようにノートを書くように入力できたり、画面もカラフルで格好良いです。かなり直感的。

しかし、ハモりトラックについては、ピアプロスタジオでは、複数のボカロのノートを重ねて表示させることが出来ないので耳が頼りになります。

ボカキュー4のエディタ
ボカキューで複数の歌声を作る場合は、ボカキューのトラックをもうひとつ作る必要があります。V2エディタのときのように同じ画面上でパートを増やすことはできません。
逆に言えば、トラックを別に分けられるので、コンプやEQなどをボーカルトラックごとに変えられます。

ちなみに、以下の図のように、非アクティブなトラック(薄い線のほう)は、エディター上で選択が出来ないので、ボカキューのエディタを一度閉じて、トラックを選び直す必要があります。
ここはCubaseのMIDIのキーエディタとは少し違うところです。

 

vocacuu_hamo

ボカキューの画面。複数トラックも表示はされるが、アクティブなトラックしか編集はできない。一度エディタを閉じてトラックを選び直す必要がある。(これは例なので、キーを2つ下にずらしているだけです)

ボカキューのエディター画面はV2のエディタと同じデザインです。
ピアプロスタジオと比較するとやや使いづらいです。どっちかと言うと、歌詞を入れる専用エディタですね。ノートの微調整はCubaseのMIDIエディタでやったほうが速いですし。ただ、ダイナミクスの微調整などは普通に出来ます。特別こだわらなければ普通に使えます。

気になるのは、ボカキューエディター上で、「早送り/巻き戻し」ショートカットを使うと、一瞬で凄く遠くに運ばれます。バグというか多分仕様です。Cubaseの通常のスクロール速度と合っていません。

まとめると:
・ボカキューを使う場合「ノート入力・調整はCubaseで、歌詞入力はエディターで」、という感じです。すべてのノートをMIDIで管理できるので、コピペや移動は非常にしやすい。快適。
・ピアプロスタジオはエディター的には快適ですが、DAW上での発声ポイントが、エディターを開かないと確認できないので分かりにくい。ノートがそのままMIDIじゃないのがつらい。

⑥デフォルトの打ち込みではピアプロスタジオの発声が良い

ボカキュー4とピアプロスタジオのデフォルト打ち込みだと、ピアプロスタジオの方が1枚上手です。ピアプロスタジオはベタ打ちでもかなり綺麗な発声をしてくれます。
それに対してボカキューはデフォルトの打ち込みでは発声は普通な印象。
ボカキューの初音ミクDarkで「い」を伸ばすと途切れ音が入るときもありました。ピアプロスタジオでは特に異常なし。←これに関しては似たようなことがそれ以降は無かったので取り消します。

⑦ボカキュー4は、E.V.E.Cには正式対応していない。
追記: 2017年1月14日 E.V.E.Cにはジョブプラグイン(個人配布のもの)で一応対応できるようです。

『VOCALOID4 Editor・VOCALOID4 Editor for CubaseでV4X E.V.E.C.を使うjob Plugin』
http://ch.nicovideo.jp/kyonsandayo/blomaga/ar961064

↑ちょっと使ってみたのですが、使いづらいです(´・ω・`) やはりE.V.E.C機能を使うならピアプロスタジオのほうが良いです。

デフォルトではE.V.E.Cは使えないので⑦の文章↓ は残します。

 

http://blog.fujiu.jp/2015/03/vocaloid-vocaloid4.html

この記事にもあるように、ボカキュー4はE.V.E.Cという項目がありません。

初音ミクV4Xで搭載された、強い発声の「POWER」と、ささやく「WHISPER」等は、ピアプロスタジオを使わないと使えないです。
E.V.E.C自体がクリプトン(初音ミクを販売している会社)のアイディアなので、ヤマハのボカキューに入っていないのは当然といえば当然ですが…。困りますね(´・ω・`)

まぁ、初音ミクDarkとSweetには元々このE.V.E.Cは搭載されていないので、影響を受けるのはネイティブのミクさん・Soft・Solidの3つの歌声ライブラリです。
E.V.E.Cを使いたい場合はピアプロスタジオを使いましょう。

ちなみにE.V.E.Cではありませんが「グロウル」「クロスシンセシス」等は項目があるので使えます。

vocacuu_op

ボカキュー4の画面。グロウル・クロスシンセシスなどは使える

E.V.E.Cとは?
http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vocaloid/v4x.jsp


大体以上です。メリット・デメリットがどちらにもあります。

編集の操作性は良いけれど再生すると一瞬全体が固まってしまうボカキュー vs 編集画面でオケが再生されないピアプロスタジオ。という感じです。

個人的には、正直、ピアプロスタジオで十分かな、とは思いました。^^;笑

なぜかというと、操作性でそこまで致命的な差はないからです。ピアプロスタジオの編集画面を操作中にオケの音が出るようになれば、ボカキューの必要性はあまりないかなって思います。さらに言えば、2画面ディスプレイにして、1画面をピアプロスタジオにすれば、そのピアプロスタジオの欠点もかなり少なくなるとは思います(編集中にDAWの音が出ないですが)。

それよりも自分は今のところ、ボカキューの再生時のつっかかり(一瞬待たされる)がかなり気になっています。

僕は、ボーカロイドにメロディを歌わせて、そこから曲想が湧いてくることが多いので、やっぱりストレスは感じたくないです。ピアプロスタジオを使うかなぁ…せっかくボカキュー買いましたけど。トホホ。(と、当初は思っていました…)(追記)

ピアプロスタジオは、複数声部はトラックを分けて作る必要があり、しかも表示で確認が出来ないので、ハモリを作るときはかなり苦労すると思います。メインボーカルのノートが重ねて表示できないので、耳が頼りですね。

まぁ不満も言ってますが、なんだかんだどっちも使いそうな予感。

追記:(2016年9/18)

その後、使い込んだらボカキューの方に慣れてきました。今は完全にこっちで曲を作ろうとしています。
MIDIファイルをボカキュートラックにコピペして、そこから細かくエディット出来るのは強いです。
CubaseにはVariAudio機能(オーディオのボーカルの音程を調節したり、MIDI化できる。)があるので、伴奏のピアノに合わせてボーカルを自分で録音して、そのオーディオをMIDI化してから編集して調整し、それをそのままボカキュートラックに入れれば、人が歌えるボーカルトラックがすぐ作れます。
(ピアプロスタジオは、一回書き出したあとにインポートしないといけないので少々手間がかかる)

ピアノやシンセでメロディを作っても良いですしね。MIDIをトラックにドラッグ&ドロップできるのは強いです。

基本は慣れているCubaseでMIDIをざっくり作って、細かい調整もしてからボカキューエディタで歌詞の流し込みをする使い方になると思います。

ただ、ボカキューでたまに出てくる「シンガーが変更されない」というバグは健在です。
解決策は、ボカキュートラックでボーカロイドエディター画面を開いて、どのノートでも良いのでクリックして一度発声させると、指定しているシンガー(Dark, Sweet, Originalなど)の正しい声が鳴ります。
そこまで深刻なバグではないので気にしないことにします。アップデートで治ることを期待しますよ。
2016年10月25日のアップデートVer.4.3.0で上記のバグはなくなりました!

結論:
長々と書きましたが、ボカキューは買いです!今となってはボカキューがない生活は考えられないです。
買って損は無いです。
(Cubaseがよほど嫌いじゃなければ)

 


以下、ボカキューの対応策、しておいた方が良さそうなこと。

■ボカキューの再生ボタンを押すと待ちがあることの対応策:
その①
設定→プリファレンスで
待機時間を500、プリセンドタイムを300にすると少し再生開始が早くなる。

その②
オケだけ編集しているときは、ボーカロイドトラックをフリーズさせる。
フリーズにはショートカットでCtrl + Shift + m あたりに「トラックの無効/有効」を割り当ててあげましょう。フリーズは一瞬で出来るし、同じショートカットで解除もできます。

その③
リアルタイム入力モードにしておく!

リアルタイム入力モードにしておけば、待ちはなくなりました!
ただ、歌詞が全部「あああ~ああ~」っていう感じで「あ」になります…。
リアルタイム入力モードをやめれば歌詞は元に戻ります。
これでも良いかな。音程は確認できますし。

その他の設定に関して

■デフォルトのVocaloid Editorを開く設定を変える:

デフォルトではメニューから「MIDI」→「VOCALOID4エディターを開く」をクリックしてあげないとボカロエディターが起動しない(MIDIに歌詞を打ち込めない)ので、ここにもショートカットを割り当てる。
僕はAlt + zに割り当ました。
(人それぞれ)

■リアルタイム入力が出来ないときにチェックすべき項目

リアルタイムレコーディングができるんですが、動作しないときがありました。
①インスペクター(Cubaseの左上のトラックの設定部分)のMIDIの入力が「All MIDI Inputs」になっているか確認しましょう。
②VOCALOID4エディター画面を開いて、左上の鍵盤のマークがオレンジになってるかどうかを見てみましょう。

 

この記事、持ってない方はもしかしたら何が何のことやらさっぱりになってしまうかもしれませんが…なんとなく想像してみてくださいね。

とりあえずは以上です。

P.S.

ボカキューを使った新作です!
書き出しはピアプロスタジオです。

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